ロゴスとイデア
「ラテン語」繋がりで,河野與一『学問の曲り角』(岩波文庫)を再読したのだが,やはりおもしろい。これは元々は正続2編からの抜粋で,今度は全部を読みたくなった。市の図書館に正編があることを知りそれを借りて読み,続編はアマゾンの中古を数百円で購入してこちらも読んだが,河野先生が訳した本をそうとは気づかずに結構読んでいることがわかった。有名な「アミエルの日記」は喰わず嫌いで未だ読んではいないが,そんなに嫌うこともないのかも知れない。
市の図書館の使い勝手が良いことがわかり,返却ついでに今日は田中美知太郎『ロゴスとイデア』を借りてきた。岩波から1947年に出た初版であるが,驚いたことに表紙裏に献辞があった(写真):田中先生から呉茂一先生へ贈られたものだ。ネット上で調べたところでは,呉先生の逝去(1977年)後その蔵書のうち古典語関係は東大へ寄贈され,それ以外は中村光夫さんの仲介で市の図書館へ寄贈された,ということらしい。
今は知らないが,昔の西欧では中学・高校で古典語学習が必修だったらしい。前回記事で取り上げた論文が載っているのはドイツの数学雑誌であるが,創刊当初(1826)は多くがラテン語で,中にドイツ語とフランス語の論文が混っている:これで数学者同士お互いに通じ合えたということだ。この雑誌は現在も続いているが,今はラテン語の代わりを英語がつとめている。
大昔に買ったけれど(何時何故購入したのか覚えていない。クルチウスを読んでいたときだろうか)全く読んだ記憶がない岩波全書の『ギリシャ語入門』(田中・松平)と『ラテン語入門』(呉)が手許にある。期せずして田中・呉の両先生に再会したのだが,いまから読み始めるには老眼が始まっている目には厳しいものがある。
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