「公式集」の誤り
本に書いてあることが正しいとは限らないのは当たり前のことだが,昨日は岩波「数学公式 Ⅲ」でそういう例を発見して驚いた。いくつかの初等関数を超幾何関数で書き直す計算をやっていたときである。三角関数 $\cos z$ のベキ級数展開を超幾何関数風にポッホハマー記号で書き直すと下のようになる。このときの超幾何関数はガウスのそれではなく,もっと簡単な場合である。これは有名な結果らしく Wikipedia にも載っていたが,念のため手許の「数学公式 Ⅲ」(1972 年, 12 刷)を調べると,P. 56 に引数が「$-z^2/2$」と分母が4ではなくて2になっている! 同様に $\sin z$ の場合も,分母に同じ間違いがある。岩波の数学公式集はロングセラーなので,最近の版では修正されているかもしれないが,まだ確認していない。私のようにわざわざ書き直そうという物好きは少ないだろうから,誤植が生き残っている可能性は高い。
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