本家の arXiv へ初投稿しました

自分の出版済み論文で最近のものはこのサイトの arXiv ページに置いているが,この名前は本家 arXiv(コーネル大学)をパクったものだ。多くの雑誌は「二重投稿の禁止」という要求があるため,これまで本家の arXiv は「見るだけユーザー」だったのだけれど,最近ある数学誌に投稿を試みたところ,原稿のアップロードは arXiv の ID で代用可能と言われて,今更ながら世の中の様変わりに気付いた。

そんなわけで遅ればせながら,本家 arXiv にアカウントを作成して初投稿を試みたところ,投稿には endorsement が必要だという:小切手の裏書きと同じで保証(人)を要求するわけだ。昔はそんな要求は無かったのだが,ある有名な事件があってこういう規則が生まれたらしい。ところで,その保証人の条件というのが厳しくて「直近5年間に4報以上投稿のある人」というのだ。今回はさいわいに知人の K 氏がこの条件を満たしていたので endorse をお願いしてこれをクリアした。こうして arXiv:2207.06722 が私の初投稿となった。ちなみにこの論文は某誌で閲読中である。

今はどうか知らないが私が日本物理学会へ入会する際は「学会員の紹介者」が必要であった;当時助手の O 先生にお願いしたと記憶する。学会員は年2回ある学会で講演する権利があるが,その当時「**セッション」と呼ばれた「怪しい」講演が毎回あって,私も一度だけ覗いたことがある。登壇者は当然ながら学会員であり「類は友を呼ぶ」ので一度クリアされるとこれを阻止することは不可能だ。今でいう「トンデモ」のはしりである。ちなみに学会誌へ投稿するには学会員である必要はなく,投稿された「怪しい論文」は閲読や編集の段階で原理的には阻止できるが,外国誌ではソーカル・ブリクモン『知の欺瞞』のようにそれを突破するような事例もある。

0コメント

  • 1000 / 1000