ヴェイユ「数学の創造」
アンドレ・ヴェイユの数学史本で最初に読んだのは「Number Theory」で「楕円関数論」なども面白く読んだ。写真の「著作集自註」は中身は難解だが何度も読み返すうちに少しずつわかってくるのが楽しい。左の旧版は壊れやすい装丁で何度も修復して読んでいたが今回何度目かの再読中に遂に全壊し右の新版を購入した。旧版は断裁して電子化するつもりだ。
杉浦先生の訳は独特な日本語で,例えば「我々・種々を我我・種種」と「々」を嫌い「ホッジ・ラングランズ」は「ホッヂ・ラングランヅ」とカタカナ使いにこだわりをお持ちだ。いわゆる「歴史的仮名遣い」とも違い,こういう世代というのがあるのだろうか。
新版は項目ごとに余白を設けて読み易くなったが,活字を組み直したのか少数ながら旧版にはなかった誤植が新たに発生しているのは残念だ。それを差し引いても数学好きにはお薦めしたい本である。
追記:芥川竜之介「侏儒の言葉」を眺めていたら冒頭部分に「我我」とある。カタカナも元の綴りがd のときはタ行,j のときはサ行という原則に拠るようだ。それほど違和感がなくなってきた。
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