Satosi Watanabe's Doctor Thesis

前回記事に書いた国会図書館訪問の目的のもう一つは,渡邉慧先生の学位論文(仏語)のコピーを入手するためであった。そのときは関西館にあることがわかったので「遠隔地複写」を依頼して帰ったのだが,しばらく待っていると「資料が破損・劣化しており、複写できません」という残念なメールが届いてしまった。


じつは同書には井口和基氏による日本語訳があるのだが,論理の通らないところや明らかに誤訳ではないかと思われる箇所が多数見受けられるので,原文を確認したくなったという経緯・理由があったのだ。そこで,他にも国内に所蔵図書館はあったものの,思い切って検索で見つけたオランダの古書店に現物(6千円弱)を注文したところ数日前に無事到着した。ご覧のように「壊れかけた表紙」ではあるが,本文は書き込みもなく綺麗な状態でなんとかコピー可能であった。原本は大事に保管して今後はコピーを使用するつもりだ。


面白い発見は前の所有者のサインがあったことで「S. Wouthuysen」と読める。これは「Foldy-Wouthuysen 変換」で有名なオランダ人物理学者(1916 - 1996)のことと思われる。ちなみにこの変換は学生時代に西島和彦先生から『相対論的量子力学』(培風館)の元になった講義で教わった。先生が何と発音したか覚えていないが,私は「ふぉるでぃーうちゅうせん」と勝手読みしていた(笑)。正しくは「ウートホイセン」とでも読むのだろうか。



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