ガウス日記 #58 の連分数について

ガウス日記で興味を持ったのは #43 のVicimus GEGAN よりもむしろ #58 の連分数であった(写真1)。しばらく弄って遊んでいたのだが「連分数の達人ラマヌジャンなら何かやっているに違いない」と思い付いて,彼の Notebooks を眺めていて数日前に該当箇所を見つけた(写真2)。紛らわしいのだが,ここで q はガウスの a で,新たに展開パラメータ a を導入した拡張形を彼は得ていたのだ(a=1 がガウスの結果)。この Berndt 編集による第3巻には証明・導出の他に文献案内(Eisenstein 他)も載っていて,その周到な仕事振りは尊敬に値する。


余計なことだが,その案内に従い Notebooks のフォトコピーから幸いにラマヌジャン自身の記述箇所も発見した(写真3)。ただでさえ手書きで読みにくいうえ,裏表や上下が逆とかハレーションを起こしたページも頻出するこの写真版作成者の仕事振りは最悪である;やり直して欲しいものだ。


注記:1)高瀬正仁訳『ガウスの数学日記』には連分数の表式に誤植がある;上記の関連文献に関する記述もない。2)旧記事の Vicimus GEGAN の解釈者 Wiermann は Biermann の綴り間違いらしい。その原論文は未見なのだが,なんでも GEGAN を逆にして NAGEG と書いたガウスによる「落書き紙片」があるのだそうだ。

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