北風其涼 雨雪其雱

遅ればせながら韓流ドラマ「赤い袖先」を視聴中だ。ヒロインのイ・セヨンが『詩経』の一節(表題はその冒頭句)を朗読する感動的なシーンがある(第5話)。中国語の詩を朝鮮の言葉で読むのだが,日本の「漢文読み下し」と同じやり方なのがおもしろい。聞いていた世孫が「意味はわかっているのか?」と意地悪く聞くので巡に訳していくのだが,擬態語の繰り返しが詩のリズムに呼応して効果的であった。


ドラマではこの詩は「愛する男女の駆け落ちの歌」という解釈だったが,検索すると「暴政から逃れる難民または亡命者の歌」というあまりに儒教的な解釈(吉川・高田など)が多かった。しかるに白川静『詩経 中国の古代歌謡』はドラマとほぼ同じ理解で「戯弄的な歌」だという;さすがである。『万葉集』は『詩経』に例えられることがあるが,白川には『初期・後期 万葉論』もある。

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