ボーア兄弟

雑誌「数学セミナー」の記事をまとめたムック本の一つ『現代数学のあゆみ』(1990年)に載った鹿野健「英国学派の数論」を改めて読んでいて面白い間違いに気付いた。数学者ハラルト・ボーアとして(間違って)兄の物理学者ニールス・ボーアの写真が載っているのだ。左が記事の写真,中央はネットにあったボーア兄弟の写真(向かって右が兄で左が弟),右はボーア親子の写真。ちなみに兄弟の父は生理学者で,ヘモグロビンの酸素吸着解離の仕事が有名だ。

記事が書かれたのは 1985 年だから,今のようにネット検索など出来ない時代である(最初のブラウザである Netscape Navigator が出たのが 1994 年)。私はたぶんリードの『ヒルベルト』か『クーラント』を読んで数学者の弟がいるのは知っていたが,兄の方が圧倒的に有名人なので写真を取り違えるのも無理はない。もっとも Wikipedia によると弟はデンマークのサッカーオリンピック代表だった(銀メダル)そうなので,若い頃は弟の方が本国で有名だったかもしれない。

鹿野さんの記事の(上)は Caley-Smith-Sylvester(下)は Hardy-Littlewood が主役で,英国数学が解析的整数論で復活する経緯が面白く書かれている。その後 Littlewood を検索していて偶然 Ramanujan を扱った TV 番組(PBS の Nova シリーズの一つ)を見つけて見入ってしまった。Ramanujan の Lost Notebook を発見した Andrews が出てきたからだ。おかげで良いものを見ることができた。

0コメント

  • 1000 / 1000