告知&妄想

熱統計力学の追再試験の採点を終えた。設問の一つから生じる話題について記事「理想気体の内部エネルギーの統計依存性」を arXiv に載せたので,意欲あるひとは読んでほしい。そうでない人は大学掲示板に「略解」を示したので見てほしい(ほとんどは略解を公開済みの本試験問題と重複しているが)。

古典統計のマクスウェル・ボルツマン(MB)に対して,ボース・アインシュタイン(BE)や フェルミ・ディラック(FD)は量子統計とよばれる。歴史的には確かにそうだが,前に書いたように(プランクからボースまで24年)量子力学成立前に現れても何ら不思議でない。識別不能な粒子系の「場合の数」を数える問題は古典的なのだから。

一方で,回転群と対称群の両方を満たす既約表現は BE と FD に限るという「スピンと統計の関係」は,量子力学成立後にしか生じない問題設定だ。こういう「異なる2つの群にまたがる表現の問題」というのは,他にもあるのだろうか。小さな例で思い当たるものがなくもないが,これを組織的にやる「数学」が既にあるのかどうか,不勉強のためよく知らない。

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