著作権について
(1)著作権のある出版物をウェブ上に無断公開するのは,たとえ無償提供であっても違法で損害賠償の対象になる。最近も新刊漫画をそのように提供していたサイトがネットから遮断される事件が話題を集めた。
じつをいうと私もある共著書籍に対する著作権侵害を受け,昨年一年間を法的対応で振り回されるという経験をした。それ自体は普通の著作権侵害であったが,おそらく「SCAN+OCR」によって侵害行為が昔より容易になったという側面があると思う。
最近アマゾンで Ashcroft-Mermin『固体物理学』の新版を2種類見つけたのだが,どちらも著者として原著者以外の名前が加わっており非常に怪しい。私たちの場合と類似の「違法商法」なのではないかと思う。
(2)Google Scholar などで検索をかけると,目的の論文が入手できる場合もあれば,読むにはアクセス権の入力や料金を要求される場合もある。研究者としては,例えば日本物理学会の Progress of Theoretical Physics や日本数学会の雑誌『数学』(直近を除く)などのように,障壁もなく自由に読めるのが理想である。将来的にはすべての論文がそうなると思うが,実現はまだまだ遠い。
(3)一方で,昔の書籍や論文の scan を pdf 化したものを置いてあるサイトがある。私が利用したことがあるのは
(a)ミシガン大学図書館サイト
数学者の著作集 https://quod.lib.umich.edu/cgi/t/text/text-idx?page=browse&c=umhistmath
(b)ドイツのデジタル雑誌公開サイト
クレルレジャーナル https://www.digizeitschriften.de/dms/toc/?PID=PPN243919689
その他の雑誌 https://www.digizeitschriften.de/zeitschriften/
などである。こうしてアーベル・ヤコビやワイエルシュトラスの全集が入手できたのだが,読むのはまた別問題なのが辛いところである。大昔にエルミートの Comptes rendus 論文を総合図書館で読んだことがあったが,40年後にこうなるなどとは想像もしなかった。
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