紛らわしい「商集合」記号
これはある意味で前々回の続きになる話題であるが:
m, n を整数とするとき「(1/2) m/n」と「m/2n」は同じことだ。ところが整数の集合を Z と書くとき「(1/2)Z / Z」と「Z / 2Z」は異なる意味になることに気付いた。
集合 A と集合 B の割算 A/B を商集合という。A の要素 a1, a2 の差 a1-a2 が 集合 B に属するとき「a1≡a2 (mod B)」と書いて「B を法として合同」という(これが前々回の話題)。商集合の記号 A/B は集合 A を B を法として合同となる要素ごとに分割(類別)して得られる集合を意味する。もっとも簡単な例が Z/2Z で,整数 Z を要素の差が偶数か否かで分類する(1と3は同類だが1と2は異なる)と偶数類と奇数類に分かれるわけだ。代表元として0と1を選べば Z/2Z={0, 1} と書ける:0が偶数の代表で1が奇数の代表。
表題は (1/2)Z/Z={0, 1/2} ということに今更ながら気付いたということ。(1/2)Z は整数を2で割って得られる集合だから (1/2)Z={..., -3/2, -1, -1/2, 0, 1/2, 1, 3/2, ...} で,これを整数 Z を法として分類するからだ。本質的には偶数・奇数による分類なのだが代表元表示が異なる。ちなみに (1/2)Z/Z とあるのは井草準一先生の本。
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