アイゼンシュタインとクレルレ誌

ガウス日記#58 の連分数について,アイゼンシュタインの論文があることを前に書いた。念のため調べたところ,クレルレ誌 28(1845)96 の Theorema と題する1ページ論文がそれであった。4個の恒等式が証明もなく並んだ簡潔極まる論文で,1番目はオイラーの結果で2番目がガウスの結果である。個人的に面白く思ったのは4番目であるが,ここではそれには触れない。


アイゼンシュタインの著作集はこれまで3種類出版されており,最初のはガウスの序文が付された1巻もので,ネット上で無償入手できる。2つ目と3つ目はアメリカ数学会から出たものでヴェイユの序文が付いている(後者は前者の第2版)。目次を見るとアイゼンシュタイン論文に加えて,書簡類やガウスその他による論説が載っている。


論文はほとんど全てクレルレ誌掲載のもので,個別にネットから無償入手できる(実際ヘッケの場合と同様に私はそうやって自家製の論文集を作った)。特に驚いたのはその 27 巻と 28 巻である;全巻がほぼアイゼンシュタイン論文で占められているのだ。なんという多産であろうか。この2年間だけで25個の論文を書いている。もちろん上記のような短いのもあるが,それでも毎月1個のペースで,とても尋常の仕事量ではない。羨ましい限りではあるがそんなに根を詰めたせいで早死にしたのかもしれない(1823--1852 の享年 29 歳)。


ガウスが「アイゼンシュタインはアルキメデスとニュートンに匹敵する」と言ったという真偽不明の噂話がある。もしも長生きしていれば,数学はどうなっていたのだろうか。

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