リーマン面の変形と種数

「リーマン面」を特徴づける量に「種数 p」というのがある。球面を種数 p=0 として,球に取っ手(ハンドルという)をひとつずつ付けていくときの「ハンドルの数」が種数 p である。あるいは「腹ペコあおむし」がリンゴに空けた「トンネルの数」と言ってもよい。久賀道郎先生の『ガロアの夢』では「 p 人乗りの浮袋」という例えが使われている。


さて,虫が空けた穴の場合で言うと,球面にある穴の数は通常(入口と出口を合わせて)「2p」であるが,トンネルが中で繋がっていると話がややこしくなることに気付いたのである。下図の左は「正四面体」表面に穴が4個あり全てが内部で繋がっていて,この場合の種数は p=3 である。また,右は「ボイドキューブ」で,立方体表面の穴は6個あって全て中で繋がっていて,この場合の種数は p=5 である。キューブとしては中央がないので却って解くのは易しいが,回転機構が不思議で大昔に入手したことがある。


種数を確かめるには,どれか一つの穴を選び大きく拡げて全体を平たくして,浮袋の穴を数えればよい。紙粘土を使うと容易に実験できて,少し前に実際確かめてみたのだ。それゆえ,表面にある穴の数だけを数えたのではわからないのである。例えば表面にある穴が奇数の3個で全て内部で繋がっている場合も考えられる。このときは p=2 であることがわかる。一般に,トンネルが全て内部で繋がっている場合 「p = 穴の数−1」と言えるだろうか。


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